秩父弁だんべぇ
本誌前号発行のご挨拶に、七月の話題として「いまいう熱中症は一昔前は日射病と言った」という趣旨の一文があった。これを読んで思い出したのは「暑(あち)いに当たる」という言葉だった。昭和10年生まれの私が子 ……
吉田の寄保沢(よっぽざわ)に伝わる地名伝説である。ある男が山に薪拾いに行ったところ、沢沿いの径で蛇の尾っぽを踏んでしまった。蛇は足に巻きついてきた。男は慌てて蛇を振りほどき、頭と尾っぽを切り離して沢に ……
「夜中にそんなでっけぇ音を出すもんじゃねえよ。」夜、兄弟げんかでもすると、お婆さんにこう言って叱られたものだが、この頃はその言い方には違和感があるようだ。 『万葉集』の歌には「水の音」と「鴬(うぐいす ……
山林の買付けや鉱山の探索をする人を山師といった。経験と勘に頼ることなので、当たり外れが多い。そこから賭け事師の意味に広がり、ヤマを張る、ヤマを掛けるという語も生まれた。 よく似た言葉にアテズッポーがあ ……
柿の木の下に、実になり損ねた蔕(へた)が、掃き集めるほど落ちているとがっかりする。これが実になっていてくれたらなあと思う。果実の蔕や根菜類の根の方などをシッペタという。ヘタだけでいいのに、何故シッペタ ……
本誌前号の砂糖の話を受けて。日中戦争による物資不足で、砂糖は昭和15年に統制品となり、配給以外は手に入らなくなった。戦争が激化すると輸入もできなくなり、砂糖の原料は軍用機の燃料に転用されて、昭和19年 ……
関東平野をはじめ、平野と名のつく所は文字通り広々としているが、そこには意外に平のつく地名は少ない。逆に、狭い山間地ほど平のつく地名が多いのはなぜだろうか。 例えば、切り立ったV字谷の大滝中津川沿いには ……
「たまか」とは誠実・実直・物事を緻密(ちみつ)に処理できる、また倹約するなどの意味を表す言葉だが、今では方言かと思われるほど、ほとんどつかわれなくなっている。 これは元禄時代から文献に登場した言葉で、 ……
日本列島を吹き抜ける強い風を伴う豪雨を、いまは台風とよぶが、昭和の前半 頃までは嵐(あらし)というのが普通だった。嵐とは山風と書くことから、山から吹き 下ろす強風と思うところだが、実は“アラシ”とは元 ……
じゃが芋のおいしい季節。と言っても九州では2月から6月頃まで、関東では5月から7月頃までと、新ジャガ前線が移動する。ジャガ芋は慶長年間(1600年頃)にジャガタラから入ってきたジャガタラ芋の略称。 新 ……
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