むさしの会館

”てぼっけなし”の巻

 くれ好きで、何でも人に遣ってしまうカアちゃん。亭主とすれば「全く、テボッケナシなんだから、いくら稼いだってのこりゃっしねぇ」と、愚痴ることしきり。
 テボッケナシとはルーズで経済観念のない人をいう言葉。秩父をとりまく栃木、群馬、長野辺りの方言である。元はホロク、ホロケルで、振るとか振り落とすということ。それが無意識の行動となると失くす、失うことになる。
江戸後期の仙台の方言を集めた『浜荻』には「ほろく、おっぽろくといふは物ををとせし事」とある。そこから、ぼんやりとかぼけるという意味もでてくる。
 それに手を付けてテボッケというと、しっかり握るはずの手が呆けて、みんな手離してしまうということになる。つまり経済観念がゼロのこと。テボッケナシ(ネー)のナシは、この場合否定ではなくて、否定的な表現をつかって、マイナスイメージを強調したものである。

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